DENKO!

「顔がひりひり痛いのだ」

更衣室でデンコは鏡を見ながら呟く。

「勝ったんだからいいでしょ」万里は冷たく言い放つ。

デンコがトランクスを脱ごうとして気が付く。

万里が腕組みをしてこちらを見ているではないか。

「あのー・・・出来れば見てほしく無いのだ」

「なんだぁ?めんどくさい奴だな、毛が生えてないとかか?」

「実は・・・そうなのだ・・・」

「処理が楽でいい、とっとと着替えろ」

「はいなのだ・・・」スルスルとデンコがトランクスを脱ぐ。

果たして、毛は無くツルツルだった。

急いでズボンを履く。

「中学生かよ、ッたくー・・・」万里はもはや呆れているようだ。

「ここまで恥ずかしがるのもおかしいって・・・分からなくも無いのだ」

「じゃあなんで隠す?」

「本人は卒業したけど・・・美由紀先輩に最初に見てもらいたいっていうのがあるのだ・・・」

「あーあー、お前か美由紀さんの卒業の日に花束を贈って告白したってのは」

「そうなのだ・・・本気なのだ・・・」

「本気っつったって、あれだろ?バレンタインに同性の先輩にチョコ贈るみたいな」

「違うのだ・・・」

「なんだ?違うのか?」万里はきょとんとする。

「同性愛者(レズビアン)なのだ・・・あまり人に言ってほしく無いのだ・・・」

「そうか、まあ私には偏見もなけりゃ、理解もしないけどさ」

万里が更衣室の試合側の出口を見る。

もう次の試合が始まってワーワーと歓声があがっている。

「ノーマルだよ」

万里の言葉にデンコの両手がグッと握り締められる。

「美由紀さんはノーマルだ」

「分かっているのだ・・・」

 

数分の沈黙が流れた

「・・・本気だったんだな」万里が沈黙を破った。

デンコはベンチの上で体育座りをしている。

「まあ・・・頑張れよ」そう言うと万里はロッカーから出て行った。

デンコはしばらく体育座りで何かを考えていたようだったが、自分の荷物を持って相部屋へ戻った。

全員試合を見に行っているのだろう、部屋には誰もいなかった。

そしてシャワーも浴びずに布団に倒れこむ。

(やっと1勝したのだ・・・美由紀先輩・・・)

疲れがどっと押し寄せてくる・・・。

 

 

 

 

「美由紀先輩!そこ洗ってないのだ!臭いのだ!」

美由紀の舌がゆっくりとデンコの性器を上下に舐める。

恥ずかしさのあまり両手で顔を隠す。

くちゃくちゃくちゃ・・・

 

 

くちゃくちゃくちゃ・・・

夢だった。

夢うつつの中、デンコは自分の性器を弄っていた。

夢の中の美由紀の舌のようにゆっくりと上下に。

(ああぅぅぅ・・・気持ちいいのだ・・・美由紀先輩)

徐々に指の動きが早くなる。

部屋には、くちゃくちゃくちゃ・・・と音が響く。

「切ないのだ・・・美由紀先輩!」

片方の手でクリトリスを刺激する。

痛くないようにそっと。

「ぬるぬるした液が止まらないのだ。どんどん出てくるのだ」

それは美由紀を想う気持ちに比例したものかもしれない。

最後はクリトリスも尿道も膣口も全部いっしょに擦りあげる。

ぐちゃぐちゃという音はピークに達した。

「そろそろイっていい?デンコはすぐにイっちゃうのだ」

誰もいない部屋で呟く。

そして痙攣するように体をビクンビクンと跳ねらせ、絶頂に達する。

 

はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・

 

 

「あ・・・汚れちゃったのだ・・・」

フラフラと立ち上がり、シャワー室へ行く。

誰もいない。

ここのシャワーはボタン一つで適温のお湯がすぐ出る。

まずはそれを性器に当てて汗や愛液を流す。

そしてそれらの伝わった太ももを洗う。

一通りからだを洗うと、デンコはシャワー器具を掛けてある壁に頭をこつんと付ける。

「うううぅぅぅぅ」デンコはこらえ切れずに泣き出した。

「会いたいのだ・・・会いたいのだ・・・つらいのだ・・・胸が切ないのだ・・・」

そういった自分を客観的に省みる事により、さらに辛さが胸を襲う。

「ううううぅぅぅ・・・」これほどかという量の涙を流す。

 

(この学校を卒業したらね)

美由紀の言葉がふと脳裏に蘇る。

それは、子供に「また明日買ってあげる」と、なだめる親の言葉のように確信性がない。

デンコは頭からシャワーを被って、泣きたいだけ泣いた。