《DENKO!》
(今日、ついに初試合で勝ってしまったのだ)
何となく寝付けない。
何か飲んで落ち着こうとデンコは又、あの自動販売機を目指す。
するとふと途中に昇り階段がある事に気が付いたので上がってみる。
どんどん上がると、鉄製の扉にたどり着いた。
窓が付いており、覗いてみると屋上らしい。
ぎぃぃぃぃと音をたてて扉を開く。
今は夏の終わり。少し涼しいので、デンコは少し屋上をぶらぶらしてみることにした。
「何も無いし誰もいない・・・か」
デンコは屋上から降りようとドアに向かったが、その前にドアが開いて一人の少女が入ってくる。
電灯の薄明かりでよく見えないが、零らしい。
「どうもー」デンコが言うと、人影はこちらへ寄ってきた。
「その声はデンコちゃんじゃないですか」やはり零だった。やっほーと手を振って笑顔を見せる。
「零さんは何をしに来たのだ?」
「明日試合だから瞑想かな?」
「瞑想するのか・・・試合なのか、緊張するのだ」
「大丈夫、試合は重ねてきたから!盲目ボクサーの試合!見に来てね!」
「相手は誰なのだ?」
「う〜ん、名前忘れちゃった♪」
「で・・・」デンコは色々聞きたかったが言うのをやめた。
瞑想の邪魔になると思ったからだ。
「瞑想がんばるのだ!じゃ!」
急ぐように屋上を去る。
結局一人で一階のベンチでコーラを買って飲むことになったが
氷は必ず入ってくる、キャンセル不可という事が判明して一歩前進したデンコ。
「明日は零さんの試合。見るためにもう寝るか」
相部屋に戻ると皆寝ている。
ソロリソロリと歩いて自分の布団まで行くと、一気に布団をかぶった。
「・・・・・・」
やはり寝れない。
デンコはコーラにカフェインが含まれている事を知らないようだった。
「リラックスが足りないのだ」
またソロリソロリと歩いて、デンコはカフェインの入っているコーラを飲みに自動販売機へ行った。