《Y&T》
私は「北野陽子(18)」。妹の「北野さつき(17)」とリングの中央で向かい合っている。
ここは放課後の男子ボクシング部の部室だ。誰もいない。
二人はグッとマウスピースをかみ締めて気合を入れる。
「カウントは10じゃない、本当にぶちのめされて動けなくなったらノックダウン」
陽子がルールを言い始めた。
「ラウンドごとの休憩もナシ、ぶっ続けてやる」
「OKだよ、姉ちゃん」
二人の戦いが始まった。
*
そもそもどうしてこうなったのか?
二人は本格的にボクシングを習っていた。
ある学校の帰り道、ささいな事で言い合いになった。
最後にはボクシングは私の方が強いとお互い譲らなくなり
部活時間の終わったこのボクシング部を使って勝負しようという事になった。
*
「おネぇぇぇっぇぇぇぇぇぇっ!」さつきがいきなりフックを打つ。
陽子はそのパンチを流すように避ける。
ドヴ・・・
そしてさつきの無防備なボディに強烈なパンチを打ち込んだ。
「え・・・ろ・・・」
さつきは変なうめき声をあげて舌を出している。
そして下唇から唾液をツーっと垂らした。
あまりに効いたらしく、半分白目になっていた。
「もうダメ?私の勝ちかしら?」
陽子は軽やかにステップをしている。