《ダスター氏の冒険》

「契約書に不手際は無いな今回も、パーフェクトだ」

ダスターはドアに鍵をかけた後も独り言を続ける。

「こなた君、A型のようだが、色々と研究してこういった書類はザッとしか目を通さない性格だと把握しているッ!ブツブツブツ・・・」

 

しばらくすると、こなたとかがみがマウスピースを装着してリングのある部屋に戻ってきた。

「ほーらこなたさん、仕事終わったらこれ、ちゃーんとあげますからね」

ダスターの指差す先には、ヴィンテージフィギュアがケースの中に収めてある。

「うおおお!しかも箱付いてるよ箱!」こなたの興奮度100%。

「ただし、契約書に書いてある事は守ってもらわないとダメですからね、いいですか?」

 

    30分間の殴り合い、故意に手を抜いてもかまわない

    ダウンして20秒起き上がれないとダメ

    マウスピースが外れた場合は急いで再装着すること

    この「仕事」が終わった後は、使用済みマウスピースを頂くことになります

 

「まあこんなところですね、ん?こなたさん手をあげて、質問ですか?」

「ダスターさんはフェチなのかロリコンなのかマニアなのか気になるんだよね〜」

「一応あなた方は18歳ですから・・・ロリコンなのかな?スク水ってのも素晴らしいと思いました」

「正直でよろしい、ロリコンはロリコンだって誇りを持って言ってるようなもんだよこの人」

(正直俺は3つどれにも当てはまる!俺って贅沢!)

 

「さあ二人ともグローブはつけたね?じゃあリングに挙がった時点からスタートだよ?」

「はいなはいな」こなたはそう言うと大ジャンプでリングに登った。

かがみはゆっくりとロープの間からリングへ入る。

 

「さあ始まるザマスよ!」こなたがおどけた瞬間

 

ズバンッ!

 

こなたの顔面に、真っ直ぐかがみのパンチが入った。

「あ・・・れ?私なに本気で・・・パンチを??」

かがみが驚いているが、こなたの方がさらに驚いたらしい。

格闘経験者なのに、ストレートをもろに食らってしりもちをついてしまった。

「あれ?ポフポフじゃなかったの?ポフポフじゃ」こなたが少しパンチ酔いをしてそう呟いた。

「こなた!なんか私おかしい!やめよ!ね!やめよ!」かがみが必死になって言う。

(さっき首筋から特別配合の薬を注入させてもらったよ、かがみさん)ダスターは心の中で笑っている。

「いやいや、かがみんの本気なんて、こっちが本気出してよけりゃ大丈夫だって」すぐにこなたは立ち上がってそう言った。

 

ドウッ!

 

さらに、こなたのボディに、かがみのグローブがめり込んだ。

「は・・・早くてなんかパンチが重い・・・」こなたは強烈なそのボディブローに顔を真っ青にしてへたり込む。

「き・・・今日は4月1日ですかぁ・・・冗談きついよかがみん」顔に汗をかきながらこなたが立ち上がる。

(間合いがプロすぎる!何がおこってるのか知らないけど・・・フィギュアゲットの為に・・・)こなたの頭、フィギュアでいっぱい。

 

ドス・・・

 

さらにボディ。

「べっ!」こなたはたまらずに純白のマウスピースを吐き出した。

ビシャッ!と音がして、マットに叩きつけられたマウスピースが、衝撃で唾液を撒き散らす。

 

(おいおい!原作でもここまで唾液とか無かったよな!勃起するなよ、我慢だ俺・・・)ダスターご満悦。

 

「あ・・・あ・・・はぁ・・・はぁ・・・」こなたの口から唾液の糸がダラッと垂れて落ちた。

こなたはマウスピースを拾う前に、部屋に掛けてある時計を見た。

「あと・・・27分!?」

「フィギュアが欲しいなら乗り切りましょ・・・はい、マウスピース拾ったよ」かがみがマウスピースをこなたに差し出す。

「なんで本気で殴るのさ、本気はゲームだけにしてくれ!」

「それが・・・なんだか体が勝手に動いてるみたい・・・」

「スーパーサ○ヤ人みたいに、かがみんにも何か起こったのかっ!!」

「冗談はいいからとりあえずマウスピース早く返したい・・・唾液がしたたってる・・・」

「なーんか咥えてると唾液がどんどん出ちゃうんだよねー、ありがたく頂くよ・・・モムモム」

パシッ!

こなたにジャブがヒットした。

「き・・・今日のかがみんは一味もふた味もちが・・・」

バシッバシッ!

ブッ!

こなたが鼻血を吹いた。

さすがにこなたも冗談が言えない状況になって来たと感じてきた。