《ダスター氏の冒険》

「鼻血ぃ!熱血格闘漫画のステータス!」こなたはそう言って鼻血をぬぐった。

「私に血を出させたのはお前が初めてだ!」

続いてこなたは言ったが、かがみの反応が無い。

(やっぱり違う!どこのマンガだよ!とか突っ込みが無い!)

とまどうこなたに、フックが襲い掛かってきた。

「べっ!ちょ・・・いたいぶっ!ぶはっ!ぶっはーっ!」

連続で食らって、こなたの口も出血して宙に血を吐き出した。

 

「こなたくーん、君も打ち返しちゃえば?」

ダスターの声がする。

 

(打ち返す・・・えーと・・・打ち返すと・・・かがみんが怪我しちゃうかもしれないじゃん・・・)

こなたの良心が、パンチを出すのを必死で止める。

 

(フヒヒ、さすがA型、こういう性格なんだよ本来君は)ダスター氏はニヤリ顔。

 

「ちょ・・・こなた・・・パンチが止まらないよ・・・ガードしてガード!」

「ガードしたいんだけど・・・かがみん、それプロの動きだよ・・・ってぶはーっ!」

ストレートがこなたの顔をこれでもかといわんばかりに歪ませた。

ブボッ!重い音がして、こなたが口からマウスピースを吹き上げた。

ビチャ!

マウスピースが落ちる音と同時に、もう一発ストレート!

ぐじゅ・・・・。

こなたの顔がパンチとコーナーポストの間にはさまって、さらに口から唾液と血が吹き出す。

「ぶ・・・ぶぁ・・・」こなたは内股で必死に耐える。

チロ・・・

 

チロチロチロチロ

 

こなたの股間から筋状に液体が出て、足元に水溜りを作る。

(こっこなたが失禁!?見てられない!)かがみは顔をそむけようとするが、パンチが次々に出てしまう。

 

ズバッズバッズバッ!

こなたが倒れようとする方向からパンチの繰り返し。こなたはパンチングボールのように体を行ったり来たりさせた。

(うっ!)一瞬、かがみの理性が体に勝ち、数歩後ろへ下がった。

こなたは口をだらしなく開いて、血と唾液を滴り落としている。

そして左目は腫れ上がってもう見えていないようだ。

「おしっこ漏らしちゃったよ〜」

こなたが情けない声を出す。

そしてよたっと歩こうとして、自分の尿に躓いてこける。

「もうやだ〜」

こなたが遂に泣き出した。

「こっ・・・こなた・・・」かがみの張り詰めた精神もそれでプツリと切れた。

「うむっ・・・」グローブで口を押さえるかがみ。

「うぇっ・・うぇっ・・・うぶっ・・・」体をビクッ・・・ビクッとゆらしながら嘔吐を始めた。

どんなに必死にグローブで抑えても、隙間から透明な胃液が溢れてくる。

(抑えても・・・ダメだ・・・)

「おぅぇぇぇぇぇぇ!」かがみは盛大にマットの上に嘔吐した。

びちゃびちゃびちゃびちゃっ・・・

「あぁぁぁぁぁぁ!もうやだよぅ・・・やだよぅ・・・」頭を抑えてこなたが泣き続ける。

 

 

(やりすぎた・・・いや抜けるんだけどファンとしての心がけもあるからね・・・いや抜けるんだけど)

ダスターが指をチョイと動かすと、時計が残り10分まで進んだ。

「ほら!君たち!あと10分だよ!」

 

「ほ・・・本当だ・・・ヒック・・・かぷ」こなたは泣きながら自分の血まみれのマウスピースを咥えた。