《アフター・ザ・ラストバトル》

「6、5、4」

美由紀は数を数えながら一人一撃で倒して行く。

(一人やっかいなのがいるな・・・後回し)

「3・・・2」

 

 

「あと一人だね」美由紀は挑発げに言う

「遠まわしに私を避けてたような気がするんですけどぉ?」

「あんた、名前は?」

「岸上 零(きしがみ ぜろ)って言います、よくZEROって呼ばれてますよ」

「へぇ、まあここでぶちのめして、名前なんかパーッと忘れちゃうけどね」

「お言葉ですが美由紀先輩。大してこう・・・力技だけで間近で見ても凄くないですねぇ♪」

「んクッ・・・!」

いつもなら挑発に乗らない美由紀だが、情緒不安定な美由紀は逆上してしまった。

「へ・・・へええ、そこまで言うなら・・・タイマンやってみる?」

美由紀の言葉に零はニヤリと笑みを浮かべた。

「これはこれは光栄ですわ♪美由紀先輩から挑戦状受けたのって後輩で私一人じゃないんですのん?」

「私は、タイマンやる?って聞いてるの。やる?やらない?」

「そりゃあ受けますわ♪天下の青空美由紀さんからの挑戦状♪受けますわ」

 

「おーっ、見せてもらうぞ」

教師のKがいつの間にかリングサイドにいた。

「おーっ、神出鬼没とか言われるK先生じゃないですか、よーく見といて下さいよ♪」

零はあくまでマイペースで、タイマン前の緊張感は全く無さそうだ。

「二人意外リングから下ろした?いいね?じゃあカーン」

Kが口でゴングを鳴らした。

「近い?これならすぐ当たるじゃない!」

美由紀は一気に決めようと、フックを打った。

しかしそこには零の残像だけが残る。

零のフットワークは格闘ゲームのキャラクタのようになめらかに滑る。

「くっ!」美由紀もフットワークを使うが、零に追いつかない。

パンチを打っても打っても当たらない。

「あれー、そんなに空振りしちゃバテちゃいますよ♪」

「そ・・・そんなに動くなばかっ!」

「美由紀先輩のパンチ受けたくないからこうやって動いてるんじゃないですか♪」

(当てなきゃ!当てなきゃ話にならない!)

美由紀がそう思った瞬間

真っ直ぐに零が飛び掛って来ていた。

 

(やば・・・)

ぐしゃ・・・

 

美由紀の顔が歪む。

「当たりましたよ、美由紀先輩♪」

零がグローブを引いて、一歩後ろに下がると同時に、美由紀がブッと鼻血を吹いた。

(強・・・敵・・・?)

美由紀がしりもちをついてダウンした。