《アフター・ザ・ラストバトル  アナザー・ザ・ラストバトル》

ごぶっ!

ダウンしている美佐子の口から泡が吹き出た。

(終わったか・・・)美由紀が安心していると

むくっ

美佐子が起き上がった。

口元の泡を吹いて立ち上がる。

「もっと・・・ゆっくりしていくだすよ・・・」

すぐにファイティングポーズをとる。

カウント9のぎりぎりだった。

(ちっくしょう!)

美由紀は一瞬焦ったが、それほどに美佐子を追い詰めている手ごたえを確かに感じた。

「フィニッシュブローだ!」美由紀が突っ込んで行く。

「わっ!」いきなり美佐子が元気になった。

「げっ!まだスタミナあったのかっ!」

美由紀は止まろうとするが、懇親の力を込めて打ったパンチは止まらない。

「くろすカウンターだす!」

めきめき・・・

綺麗にクロスカウンターが美由紀をとらえた

「ひ・・・ひでぇ・・・ぶっはぁぁぁぁぁ!」

宙にマウスピースを吐き出し、美由紀は勢い良く倒れた。

「美由紀っ!」小百合が美由紀のダウンしている方へ向かって叫ぶ。

 

(やべ・・・モロだよ・・・くらい過ぎた・・・)

 

「美由紀!たたないとアンモニア嗅がせるよ!」

(体がぎしぎし鳴ってる・・・)

美由紀は力を全身に込める。

「ほーら、アンモニアだよー」小百合が小瓶をちらつかせる。

(ふっ・・・)美由紀は心の中で笑った。

美由紀の体の状態、苦しさは小百合もよく分かる。

それゆえに、おちゃらけて元気を分けてくれる。

(ありがとね!小百合!)

「はい!おきます!」美由紀が起き上がってファイティングポーズをとる。

カーン

3R終了のゴング。

美由紀はよたよたと自分のコーナーへ戻る。

「さ、マウスピースちょうだい・・」小百合が手を出す。

ゲボリと血まみれのマウスピースが小百合の手に吐き落とされた。

指の間から血が滴る。

「美由紀・・・こういうのも何だけど、まだ美佐子さんは必死じゃないよ」

「うぇ?」

「まだ彼女にとってはスタミナ配分も中盤位・・・。美由紀はもうラスト位だろうけど・・」

美由紀がどんよりと志気を低める。

ぱんぱん!

小百合が美由紀の顔を叩く。

「美佐子さんの能力はもう未知数、でも世の中の試合には、一発で決着がついた試合もある!」

「そ・・・そうかぁ・・・」

「美由紀!しっかり!彼女の考えてることは分からないけど、強烈な一発をかますしかない!」

「あ・・あい!」

カーン

4Rが始まった。

「一発逆転だぁぁぁぁぁぁ!」美由紀が突っ込む。

 

 

とん・・・

 

美佐子が足払いをしてきた。

 

ずだん!

 

美由紀が勢いよくこけた。

「なっ・・・原点1!」レフリーは原点を美佐子に言い渡した。

「いやー、これくらいでもう起き上がってこないかと思っただすよ」頭をぽりぽりかきながら美佐子は言う。

カーッと美由紀の頭に血がのぼる。

小百合は、美佐子より零を見ていた。

「美佐子はそんなに考えないファイター・・・そうか!大まかに指示してるのは零だったのか!」

 

 

「くだらない作戦ね、美由紀はそんな挑発に乗らない」

小百合は零に聞こえるように言った。

「あ・・・ああ・・・もうちょっとでキれそうだったけど・・・」美由紀が正気に戻り立ち上がる。

「ね、美由紀。下らないよね?フフッ」不適に小百合が笑う。

 

零がわなわなと怒りに震えているのが分かる。

「おい零、なんか作戦失敗みたいだっただすよ?」

美佐子は自分から零がブレインだったことを吐き出してしまった。

「そうねぇ、失敗みたいだったねぇ♪」

美佐子の目の前に美由紀が立っていた」

 

とん!

 

された通りに、足払いをやり返す。

「あだーっ!」

美佐子が倒れる。

「ほら、起き上がれ♪」美由紀が挑発する。

「こいつもかっ!原点1!」レフリーが叫ぶ。

(そう!いいカンジよ!美由紀!)小百合は親指を立てた。

 

「ちょっと・・・堪忍袋の・・・緒が切れただす!」

美佐子が突っ込んできた。

右ストレート!

美由紀はサッとかわすと、左手で思い切りレバーを殴った。

 

 

「くはう!!!」

美佐子は倒れまいとしていたが、だんだん顔が青ざめてその場にうつぶせに倒れた。