《アフター・ザ・ラストバトル》
「今日はなーんとなくしか収穫ありませんでした♪」
「いや、私はあんたの左目で十分収穫あったというか驚いたというか」
「これですか?生まれつきですから♪」
「そんな目でよく私に突っ込んできたよ、なんかいじめられっこらしいしさ」
「そうですねぇ、いじめられるのは刷り込まれてますが、美由紀さんにいじめられた事はないので♪」
「よくわかんない定義」
「だってほら、右目つぶっちゃえばもう何も見えないし怖くないですもん」
「そりゃあ見えないからね」
学校までの坂を二人は話しながらあがる。
零のポケットにもう小銭は残っていなかった。
「ねえ?美由紀さん?」
「なんだい?」
「最も怖い事って何だと思います?」
「なんだろ?あんたは右目を失う事かい?」
「質問を質問でかえすなーっ♪」零は美由紀に軽くチョップをした」
「まあ・・・でも両目見えなくなるのも怖いですよ?でも」
「でも?」
「自分の作り出した妄想、刷り込まれた現実に負けちゃう事なんですよ♪」
「哲学的だなぁ」
「いえ、真実です」
「私に何か意見でもあるわけ?」
「ありますね♪」
「はっきりいいなよ」美由紀はイライラしてきた。
「小百合さんの残した亡霊に負けそうになってますよね♪」
美由紀は零の胸ぐらを掴んだ、とっさに。
「あんたに何が分かるって?もう一度言ってみな!」
「殴りますか?」
「ちっ・・・いいよ」
美由紀はそのまま零を置いていこうとした。
「私は戦ってますよー♪」
「無視無視・・・」美由紀は学校の校門へ一人で向かう。
「あと僅かな日数で、私、右目も見えなくなっちゃうんです♪」
「!」
美由紀は振り返る。
零はあくまで笑っていた。