《アフター・ザ・ラストバトル》

いつものように零が花壇で花を観察している。

「ここ最近平和だなぁ」零を見て美由紀も自然に笑みが出てくる。

ランニングにでも誘おうと、美由紀は零の方へ歩き出した。

 

「ん、その歩き方は美由紀先輩ですね・・・」

「あ・・ああ。よくわかったね」

「なんか判るんですよね」

零は小枝で花をツンツンつついている。

「は、走りにいかない?」

「うーん、もう走らなくていいのかなぁ・・・」

いつもと違い、零が沈んでいるようだ。

「なんかあったの?」

「いや、なんか上の人に呼び出されて・・・」

「あー、試合やらないからか・・・」

「やりますよ、最後の試合やりますってさっき言ってきました」

「ちょ・・・それって眼が見えなくなるかもしれないんでしょ?」

「そうですね・・・でもなんか、ここにいて何の存在感も無かった私に、最後の花火を打ち上げさせてもらえるんで」

「よくわからないたとえだな・・・って落ち着いてる場合じゃないな」

美由紀は教員室に走っていこうとした。

「あー、印鑑ついちゃいましたからもう話、通っちゃってます」

「そうか・・・」美由紀は立ち止まった。

「最後のわがままを通してくれて、ホントにいい学校です・・・ここは」

「試合に出る事がわがままか?」

「いえいえ、対戦相手ですよ」

「強いのか?」

「強いです・・・でも私・・・勝つ気で行きます」

「そうか・・・まあ頑張れ」

「頑張ります、よろしく御願いします、最後の対戦相手・・・美由紀さん・・・」

「え?」