《うるど》

ぺた、ぺた、ぺた、ぺた。

「ん?」

死神が最初に気がついた。

ぺた、ぺた、ぺた、ぺた。

 

ぺた、ぺた、ぺた、ぺた。

足音の主が寄ってくる。

ぽんぽん、はねの頭を彼は優しく叩いた。

「貧乏神!」

「おう、はね。遅くなったな」

「うるまが死んじゃった・・・」

「ああ・・・」

 

「よう、貧乏神、まさか俺を叩きのめしに来たワケじゃないよな?」

「ああ同業者、叩きのめさないさ」

「だろうな、とりあえずこの街は貧乏とか何とかより、消滅するからお前は用ないよな」

「あるさ」

「何だよ」

「叩きのめさずに、お前を消滅させるのさ」

「ぺったぺったこっちまでトロく歩いてきてか?」

「ロボットっぽくそっちまでブっとんで行ってやろうか?」

「そんな機能ついてねえだろ・・・」

「ついてねえ・・・」

「じゃあこの娘を狩るから、そこで指咥えて見てなっ!」

死神がはねに鎌を振り上げる。

 

ぼぅん!

がっ!

 

貧乏神の右手がロケットのように噴射して死神の鎌を掴んで止めた。

「こんな機能は付いてるんだけどな・・・はね、俺の後ろへ来い」

はねは急いで貧乏神の後ろへまわった。

何とも頼りがいの無い小さい背中だ、だが何か遣ってくれるとはねは祈った。

 

「ま、ロケットパンチっていうのか?不意打ちにしてはよくやったがな」

死神は鎌に息を吹きかけた。

鎌は小さく銃の形になり、貧乏神の手は外れ、カチャリと地面に落ちた。

「やっぱり効率よくしなきゃな、最近死神も鎌だけじゃ頼りなくてな」

パン!

ガン!

死神の発砲が貧乏神の体に当たり、火花が散った。

「貧乏神よぉ、お前は狩れねえが、後ろの娘に一発も当てるんじゃねえぞ、魂なくなっちまうからな」

「近代的だな」

「余裕こくな?お前も弾をはじき返す度にボディがぶっ壊れてるんだからよ」

パン!パン!パン!

チャリン!

死神の機械の体の右目に弾が当たったらしく、硝子が飛び散った。

「貧乏神・・・私どうしたらいいの・・・」はねが震えている。

「このままでいいさ、もうすぐ終わる」

「終わるって・・・」

「勘違いするな、あいつの体をスキャンしてた、機械の体って便利だな」

「銃ですらこんな状態なのに、スキャンしてどうするのよ!?」

「これが俺のやり方なんだって、まあ弾が当たらないようにしゃがんどけ」

ぷしゅーーーーー

「貧乏神・・・なんか煙でてるけど・・・」

「ああ、はね、出てるな」

「大丈夫?」

「いや、これ俺の原動力タンクから漏れてる命みたいなもんだ、もうすぐ俺消滅するみたいだな」

「そんなぁ・・・」

「はね、これから最後の賭けに出る、その前に一つ聞いてくれるか?」

「わかった・・・今はアンタを信じるしかないからね」

 

 

「八重、転生までずっと待ってた。またお前を見ることが出来てよかったよ」

どうっ!っと発射音を出し、貧乏神の残りの腕がミサイルのように発射された。