《うるど》
死神はロケットパンチをサッとよけた。
「あぶねえなぁ貧乏神さんよ」
すぐに死神は銃口を貧乏神に向ける。
「いいのかい」
「何がだ、時間稼ぎか?貧乏神よぉ」
「お前のフトコロをスキャンした時にとんでもない物があったから
今のロケットパンチでスったぜ」
「げっ!本当だ!ねえじゃねえか!」
「次元の玉を何で持ってやがる、そりゃ天使の道具だろうが」
「次元の玉。
その玉のボタンを押すと押した人が望む好きな過去に、世界の時間を戻る事が出来る。
ボタンを押した人の魂は消滅する、時間が戻ろうがどうなろうが押した人は消滅したまま」
貧乏神は説明をはねにした、そして
「遠隔操作でそのロケットパンチの手を動かして、指でボタンをポチッと押したら終わりだな」
貧乏神はいつもと同じように冷静に振舞っている。
「貧乏神!」はねには叫ぶことしか出来なかった。
「いやぁ、楽しかったぞ、八重」
貧乏神の目はニッコリ笑っていた。
ピッ!
指でボタンを押す音がする。
「クソっ!狩った魂がパーかよ!」
死神は空へと消えていった。
青空がいっぱいに広がっている。
と、ゴゴゴゴゴゴと小さな音がまわりで響く。
「八重、時波が来るぞ!」
ゴゴゴゴゴゴゴゴ
地面は揺れ、大きな音をたて白く全てが輝いていく。
「また体を修理したら遊びに来なよ!」
「無理なんだ、八重。この時空の玉で命を失ったヤツは、この世やあの世から完全に消える。つまりこれは俺の寿命だな」
時波が目前に迫る。
そして二人を飲み込み、全てを消滅させて行った。
「さよなら」