《うるど》

「それじゃ行ってくるね」

越後家の両親は二人で旅行に行く事になっている。

「お前の意見、良かったぞ、飛行機じゃなくて鈍行で行くよ」

「ええ、景色をゆっくり見ながらお互い話すのも良いと思ってね」

母親も賛成のようだ。

「じゃ、うるど、はね、ななを頼んだぞ」

うるどとはねが敬礼のポーズをとる。

「学校まで休ませて悪いわね」

母親が気の毒そうに言う。

だが本人たちは学校がサボれるのでラッキーだった。

 

といってもブラブラするしかない、雑誌も読み飽きた。

「あ、そういえば、なんか変な夢見て疲れたよ」うるまは背伸びをして言った。はねが言う。

「実は私も変な夢見た」うるまもらしい。

「なーんとなく頭に残ってるんだよねぇ・・・」

「私もそうなんだよ・・・」

 

「茶髪!」

「マント!」

二人は同時にこの二つを言い合って、ゲラゲラ笑った。

「なんか笑えるんだけど涙が何で出るんだろう・・・ってはねも泣いてるし」

「変だなぁ?涙が自然に・・・あははは」

 

                                        おわり