《わたしはわたし》
それからというもの
私と奥田さんはいっしょに放課後、屋上で過ごすことが多くなった。
奥田さんが病院の日は、アサキさんやケイコさんにボクシングを習っている。
そう、私は卒業したらボクシングをやろうと思っている。
人生どう転ぶか分からないものだと思った。
奥田さんの足は治らない。私が罪の意識を抱いていると、顔に出るらしく
「ばーか」と奥田さんに笑われる。
二人いっしょにいるせいで、私は「奥田さんに後遺症を残した」という悪いレッテルは
そうは張られていないらしく、ほかの人からは責められなかった。
人生はどう転ぶか分からないものだと言った。
その通り、奥田さんはご両親の関係で引越し、遠くへ、遠くへ。
そして数ヶ月もたった時
奥田さんは足を治すための手術をしたと風の噂で聞いた。
そして今、電車に揺られながら奥田さんの住む場所へ向かっています。
どうか彼女が二本足で立って明るく私を迎えてくれますように。
わたしはわたしであると気づかせてくれたあの試合で人生は好転した・・・と思える。
どうか彼女が二本足で元気に立って明るく私を迎えてくれますように。
わたしはわたし 完